IT業界の人手不足とエンジニア確保の根本的解決策とは?

IT業界の人手不足とエンジニア確保の根本的解決策とは?

近年、IT業界における人手不足、特にエンジニア不足は深刻な課題となっています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や新規技術の台頭によりIT人材への需要は高まる一方ですが、供給が追いついていないのが現状です。

本記事では、IT業界の人手不足の現状、原因、企業への影響、セクターごとのミスマッチ構造、エンジニアを確保するための具体的な対策について、事例も交えながら、多角的な視点から解説します。

目次 [非表示]

まずは、1章ではIT業界が人手不足といわれる背景について、解説します。

1-1.2030年に最大79万人のIT人材不足予測と「2025年の崖」のその後

経済産業省が公表している「IT人材需給に関する調査」の試算によると、IT需要が今後も高まり続ける一方で、少子高齢化に伴う労働人口の減少が重なり、2030年には最大で約79万人ものIT人材が不足すると予測されています。

この数字は一過性のブームや景気の波によるものではなく、日本の産業全体を揺るがしかねない構造的な問題です。かつて指摘された「2025年の崖」の時期を過ぎた現在、老朽化したシステムの刷新(モダナイゼーション)を完了できた企業と、先送りにしてしまった企業の格差は広がる一方です。

モダナイゼーションの詳細は、「モダナイゼーションとは?老朽化したIT資産をDXに繋げるために」の記事をご参照ください。

特に中堅・中小企業においては、資金力とブランド力のある大手企業との採用競争に敗れ、エンジニアが1人もいない、あるいはITの相談ができる窓口が完全に途絶えた「IT難民」化する企業が続出しています。

1-2.IT人材不足が深刻な3つの分野

IT人材と一言で言っても、すべての職種が均等に不足しているわけではありません。特に深刻な偏りと、激しい獲得競争が見られるのは以下の3つの領域と言われています。

不足している専門領域主な業務と求められるスキル不足が深刻化している背景
先端IT人材
(AI・データサイエンス)
生成AI(LLM)のビジネス応用、ビッグデータ解析、AWS/Google Cloud等を中心としたクラウドネイティブな環境構築生成AIの急速なコモディティ化により、単に技術を知っているだけでなく「自社ビジネスへいかに実装できるか」の知見を持つ人材への需要が爆発したため。
サイバーセキュリティ人材リモートワーク環境の防衛、ゼロトラストネットワークの構築、巧妙化するランサムウェアやサプライチェーン攻撃への対策攻撃の高度化に対し、企業の防御ラインを構築・運用できる専門家が圧倒的に不足。高度な倫理観と広範な技術知識が必要で、最も育成が難しい。
DX推進・PM(プロマネ)層ビジネス課題の抽出、デジタル技術を活用した要件定義、開発チームと経営陣をつなぐブリッジング(超上流工程)単に指示されたコードを書くプログラマーではなく、経営戦略とITを紐付け、プロジェクトを牽引できるリーダー層が市場にほぼ存在しないため。

1-3.「IT業界の人手不足は嘘」と言われる理由

いろいろ調べたことある人は知っていると思いますが、インターネット上やSNSでは、「IT業界の人手不足は嘘」「未経験エンジニアは余っている」という声も聞かれます。

結局、どっちなのと疑問に持つと思いますが、実態は人手不足が嘘なのではなく、「企業が求めるスキル水準」と「求職者が持つスキル」の解離が原因です。

誰でもできる単純な作業(いわゆるコピペ作業、マニュアル通りのテスター、旧来型の保守・運用の一部)の需要は、自動化ツールの普及やローコード、AIによるコーディング支援の進化によってむしろ減少傾向にあります。そのため、プログラミングスクールを卒業したばかりの「自走できない未経験者」にとっては、エントリー層の求人が絞られ、買い手市場(就職難)に見えることがあります。

しかし、「自ら仕様を考えてアーキテクチャを設計できるエンジニア」や「先端技術をビジネス価値に変換できるプロフェッショナル」の不足は紛れもない事実であり、こちらの市場は完全に深刻な売り手市場が続いています。

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なぜ、IT人材が不足しているのか2章では紐解いていきたいと思います。

2-1.デジタル化・DX推進による「全産業での争奪戦」の勃発

最大の要因は、あらゆる業界で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が本格化したことです。かつてITエンジニアの主な就職先はIT企業(SIerや受託開発会社)でしたが、現在では製造業、金融、小売、医療、インフラなど、非IT企業が自社でITシステムやアプリを「内製化」する動きを強めています。

DXの詳細については、「DX推進がなぜ必要なのか?推進すべき理由と成功事例を紹介」の記事をご参照ください。

これにより、IT業界内での争奪戦にとどまらず、「全産業によるエンジニアの奪い合い」が勃発し、需要が爆発的に跳ね上がりました。資本力のある非ITの大手企業が、IT企業以上の好条件を提示してエンジニアを引き抜くケースも一般化しています。

2-2.技術トレンドの高速化と教育の遅れ

IT技術の進化スピードは、他の産業に比べて圧倒的に早いです。近年だけでも、オンプレミスからクラウドへの移行、マイクロサービスアーキテクチャの採用、そして生成AIの急速な普及など、求められる技術スタック(開発環境や言語)が数年単位でガラリと変わります。

AIを活用したプログラミングについて、「AIでプログラミング!誰でも「作りたいもの」を実現できるのか?」の記事でも詳細を記載しています。

学校教育や従来の企業研修だけではこのスピードにキャッチアップできず、現場で即戦力として動ける最先端のエンジニアの供給が物理的に追いついていません。エンジニア自身にも、常にプライベートの時間を削って勉強し続けなければ取り残されるという時代になっています。

2-3.少子化による労働人口の減少というマクロ課題

日本全体の根本的なマクロ課題である少子高齢化は、IT業界にもダイレクトに影響しています。生産年齢人口(15〜64歳)そのものが毎年減少しているため、どれだけ若者の間で「ITエンジニア」という職種の人気が高まったとしても、必要な絶対数を補いきれないという物理的な限界に直面しています。労働人口そのものが小さくなっているため、採用活動の工夫だけでは埋められない壁が存在します。

そこで、外国人雇用みたいな考えが働くわけですが、こちらも様々な課題がありますよね。その中で、IT業界でいうと、オフショア開発というものが存在します。外国人を国内で雇用することなく、現地にいながらも外国人の労働力を活用できる手段です。

オフショア開発については、「オフショア開発とは?概要やメリット、成功のポイントを紹介」の記事で詳細を記載しています。

2-4.伝統的なJTCの評価制度と定着の難しさ

日本の伝統的な企業に多い「年功序列の給与体系」や「不明確なキャリアパス」に不満を持つエンジニアが非常に多いことも、個々の企業における人手不足(離職)の原因となっています。

エンジニアは技術力さえあれば、市場価値を背景に容易に転職ができる職種です。そのため、適切な評価制度がなかったり、労働環境(過度な残業やレガシーな開発環境の強制)に問題があったりする企業からは、優秀な人材から順番に外資系企業、スタートアップ、フリーランスへと流出している現状があります。

2-5.レガシーシステム対応の増加

古いパソコン

多くの企業が過去数十年間にわたり構築・パッチ当てを繰り返してきた古いシステム(レガシーシステム)の維持・運用・改修に膨大なリソースを割かれています。ドキュメントが存在しないブラックボックス化したコードを解析し、バグを修正するような「守りのIT」に、多くの現役エンジニアが縛り付けられています。このため、新しい価値を生み出す「攻めのIT(新規事業やDX)」へ人員をシフトできず、実質的な人手不足感をさらに強める結果となっています。

レガシーシステムの詳細については、「レガシーシステムとは?使い続けることで受ける5つの影響」の記事で解説しています。

まさに皆さんが実感しているところだとは思いますが、人手不足によってどんな影響があるのか、まとめました。

3-1.開発・運用プロジェクトの遅延・停滞と機会損失

最も直接的な影響は、計画していたシステム開発やアプリケーションのリリース、基幹システムの刷新スケジュールが後ろ倒しになることです。

現代のビジネスにおいて、ITシステムのリリース遅延は「サービスの市場投入の遅れ」そのものを意味します。変化の激しい市場においてビジネスの立ち上げチャンスを逃すことに直結し、莫大な機会損失を生み出します。

3-2.競争力の低下とイノベーションの停止

競合他社がスピード感を持ってデジタル化やAI活用を進め、顧客体験(CX)を向上させていく中、人手不足を理由にIT投資やシステム改善が滞れば、市場での優位性は一瞬で失われます。

どれだけ優れたビジネスアイデアや経営戦略があっても、それを形にするエンジニアがいなければ絵に描いた餅に終わります。結果として、業界内でのポジションを他社に奪われ、ジリ貧になっていくリスクをはらんでいます。

3-3.既存社員への負担増加と「連鎖退職」の悪循環

不足したリソースを補うため、現場に残された少数のエンジニアに業務が集中します。結果として、長時間の残業や休日出勤、精神的なストレスが増加します。

労働環境が悪化すると、耐えかねた優秀なキーマンから順番に辞めていくという連鎖的な退職の悪循環に陥ります。一人が辞めると残った人の負担がさらに増え、最終的に組織崩壊を招くこの現象は、多くの開発現場で現実の脅威となっています。

3-4.セキュリティリスクの増大と企業信用の失墜

セキュリティ対策

セキュリティ対策を監修し、日々のログ監視や脆弱性対応を行える専門人材が不足すると、システムの脆弱性(穴)が放置されやすくなります。

結果として、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃の標的になりやすく、最悪の場合、個人情報の漏洩やシステム停止による莫大な損害賠償、社会的信用の失墜といった致命的なリスクを背負うことになります。一度失った信用を回復するには、採用コストとは比較にならないほどの巨額の費用と時間が必要になります。

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IT人材不足を解消するために、企業はどのようなことに取り組んだら良いか4章では解説します。

4-1.社内教育・リスキリングの強化による「自社製造」

外部からの経験者採用だけに頼る戦略は、コスト面でも競争率の面でも特に中小企業だと限界を感じるのではないでしょうか。そこで多くの企業が舵を切っているのが、社内の既存社員(営業、事務、製造など)をIT人材へと転換する「リスキリング」の強化です。

自社のビジネスや業界の商習慣、顧客の特性をすでに熟知している社内人材に、データ分析やローコード開発、プログラミングを教育することで、外部から採用した技術一辺倒の人材よりも、現場に即した実用的なシステムを構築できるDX推進人材を効率的に生み出すことができます。

ローコード開発については、「ローコード開発とは?メリットと有能ツール10選を含めて解説」の記事をご参照ください。

4-2.業務の効率化・自動化

限られたエンジニアのリソースを最大限に活かすため、開発プロセス自体の効率化が進んでいます。

  • 非エンジニアの活用
    プログラミングコードを書かずにシステムを構築できる「ノーコード・ローコードツール」の導入により、簡易的な社内ツールやデータ集計システムは現場の非IT社員が自作できるようにします。
  • エンジニアの生産性向上
    現役エンジニアに対しては、『GitHub Copilot』などの生成AIを活用したコーディング支援ツールを積極的に支給。これにより、定型コードの記述やデバッグ作業の時間を大幅に短縮し、一人当たりの生産性を1.5倍〜2倍に引き上げる取り組みが主流となっています。

4-3.報酬・キャリアパスの見直し

優秀なエンジニアを引きつけ、かつ社内からの離職を防ぐためには、従来の総合職をベースとした評価制度からの脱却が不可欠です。

年齢や勤続年数に関わらず、技術力やプロジェクトへの貢献度に応じてダイレクトに給与に反映される報酬制度が必要です。また、マネジメント職(管理職)に就かなければ給与が上がらない仕組みを改め、技術を極める「スペシャリスト」としてのキャリアパスを明確に用意するとエンジニアの離職を防ぐことができるでしょう。

4-4.外部人材・アウトソーシングの柔軟な活用

すべてのIT業務を自社の正社員だけで完結させる必要はありません。

コア業務(戦略策定、要件定義、アーキテクチャの根幹設計)は自社の内製チームがしっかりと握りつつ、実務開発や運用保守、特定の専門技術が必要な局面においては、高度なスキルを持つフリーランスエンジニア、週1〜2日から参画してもらえる副業人材、SESや受託開発会社などの外部リソースを柔軟に組み合わせる体制が一般化しています。

ICDベトナムの集合写真

そんな弊社は、まさにシステム開発の実績がある会社です。様々な体制を組むことができることが強みでもあります。詳細は、以下のページよりご確認ください。

ICDの開発支援サービス|常駐型・受託型で課題解決

人手不足を単なる「人事部の採用活動の不調」と捉えていては、根本的な解決は望めません。5章では、具体的な解決策を解説します。

解決策1:自社に必要な「人材ペルソナ」の徹底的な具体化と妥協

多くの企業が「とにかく優秀なJavaエンジニア」「何でもできるフルスタックエンジニア」といった曖昧かつ高望みな募集を出して失敗しています。

まずは自社の経営課題から逆算し、求めるスキルを徹底的に言語化(ペルソナ化)します。例えば、

  • 新規アプリのUI/UXを改善できるフロントエンド?
  • 既存のデータベースをクラウドへ移行できるインフラエンジニア?など…

さらに、「この技術があれば、この経験は不問にする」といったスキルのトレードオフを行うことで、母集団は小さくなってもマッチング率は劇的に向上し、無駄な選考コストを削減できます。

解決策2:専門特化型エージェントとダイレクトリクルーティングの二面展開

一般的な総合求人サイトに広告を出すだけでは、転職市場に滅多に現れない優秀なエンジニア層には届きません。

対策として、IT・エンジニア領域に特化した人材紹介会社とのパイプを強め、自社の魅力を直接エージェントの担当者にプレゼンして味方につけることが有効です。

同時に、企業側から求職者へ直接スカウトメールを送る「ダイレクトリクルーティング」を活用します。この際、人事任せにするのではなく、現場のテックリードやCTO自らが求職者のGitHubのコードや過去のアウトプットを読み込み、熱量のあるスカウト文を書くことが、優秀な層の心を動かすことができるかもしれません(?)

解決策3:「ポテンシャル採用」と3〜6ヶ月の実践型育成コミット

経験者ではなく、「ポテンシャルを持つ層を採用し、自社で育てる」という長期投資の視点を持つことが実は近道だったりします。

論理的思考力が高い他職種(理系出身者や営業職など)や、基礎的なプログラミングを独学している意欲の高い未経験者を「育成枠」として採用します。ここでのポイントは、入社後の3〜6ヶ月間は実務(売上を追う業務)を一切させず、専任のメンター(先輩エンジニア)をつけて研修プログラムに完全にコミットさせることです。一時的な教育コストはかかりますが、1〜2年後には自社の開発文化やドメイン知識に深く馴染んだ、離職しにくい強力な生え抜き戦力へと昇華させることができます。

事例1:インターネット広告を主軸とする総合IT企業

【独自の報酬制度とスピード抜擢による若手獲得ブランディング】

同社では、新卒エンジニアの「初任給一律一括採用」を早くから廃止し、個人の技術力や実績に応じた「個別年俸制」を導入しています。能力によっては新卒段階から高額な報酬が提示されます。

さらに、入社後も「技術職独自のキャリアキャッチアップ制度」や、社内コンテスト・新規プロジェクトを通じたスピーディな抜擢人体制を整備。これにより、国内外の優秀な若手エンジニアにとって「圧倒的に成長でき、それが正当に評価される環境」としてのブランドを確立し、人材獲得競争で圧倒的な優位性を保っています。

事例2:ITエンジニア派遣を主軸とする企業

【市場に足りないなら自社で「創り出す」育成型派遣モデル】

人材の「配置」だけでなく、「供給量の創出」そのものをビジネスの解決策として提示している事例です。

同社では、IT未経験層を正社員として雇用し、独自の高度な実践型研修プログラム(現場の即戦力となるための実践的なカリキュラム)を経て、エンジニアとしてクライアントの現場へ派遣・常駐させる「育成型IT人材サービス」を展開しています。単なる右から左への人材紹介ではなく、社会的な人材の底上げを行うアプローチは、業界全体のロールモデルとなっています。

IT業界における人手不足は、単なる人事部の「採用活動」の強化だけで解決できるフェーズをすでに超えています。

  • ペルソナを絞ったピンポイントの採用と現場を巻き込んだスカウト
  • 社内リスキリングと未経験者の長期的・計画的な育成
  • ノーコードや生成AI活用による現役エンジニアの生産性の極大化
  • 市場価値に見合った適切な評価・待遇への改善
  • 外部委託に頼る

自社の現在の課題(どこでエンジニアがボトルネックになっているのか、なぜ辞めてしまうのか)を正しく洗い出し、上記のような解決策を自社の文化に合う選択をしましょう。

このようなお悩みは有りませんか?

  • 必要なスキルを持った人材が不足している…
  • 人材はいるが、コストが高くて少しでも費用を抑えたい…
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そんな弊社は様々なシステム開発・アプリ開発の実績がある企業の1つです。お客様と一緒になってお客様の課題解決をシステムの提供という形で支援しています。また、様々な体制を組むことが強みでもあり、オフショア開発、ニアショア開発、オンサイト(常駐型)開発、受託開発など…お客様の状況に合わせてご提案いたします。相談は無料!なのでお気軽にお問い合わせください。

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