フロントエンド開発とは、システム開発の一連の流れの中の一部分を指しています。そんなフロントエンド開発について、よく比較されがちなバックエンド開発と何が違うのか、バックエンド開発との比較も含めて解説していきます。
目次 [非表示]
1.フロントエンド開発とは
システム開発における開発フェーズを示すフロントエンド開発について解説していきます。
1-1 フロントエンド開発は、ユーザーが直接見て触れる場所を開発すること
システムやアプリなどでユーザーが実際に動かす部分や見た目を開発することをフロントエンド開発と言います。
システムやアプリにはユーザーが見える場所と見えない場所があります。
例えば、地図のアプリを想像してみてください。
行きたい場所の住所を入力して検索ボタンを押すとそこまでの道順や所要時間も瞬時に表示されます。フロントエンド開発では住所を入力する場所や検索ボタン、地図上に目的地までのルート表示などが正しくユーザーから見えるように開発をしています。
ただ、所要時間の計算やルートの捜索などは、目に見えなく裏側でシステムが動いています。ユーザーから見えない場所で、つまりスマートフォンなどの内部で行われていて、これらはフロントエンド開発とは別な開発フェーズ(バックエンド)で開発しています。
いわゆるUI/UXの部分をフロントエンド開発で対応していることになります。
UI/UXデザイナーについて興味がある方は、「UI/UXデザイナーとは?仕事内容、必要なスキル、将来性を解説」の記事も併せてご参照ください。
1-2 バックエンド開発との違い
バックエンド開発とは、前項で触れた、ユーザーから見えない場所を開発することです。
つまり、地図アプリでは目的地までの所要時間を計算したり、電車や車などの経路別に料金を算出したり、ユーザーからは見えないが、内部から支えるシステムを開発しています。
フロントエンド開発はユーザーから見える場所、バックエンド開発はユーザーから見えない内部の場所をそれぞれ開発することであり全くの別物と言えます。
| フロントエンド開発 | バックエンド開発 |
|---|---|
| ユーザーが見て触る場所を開発 | ユーザーから見えない場所を開発 |
| 表側 | 裏側 |
2.フロントエンド開発の流れ
続いて、2章ではフロントエンド開発の進め方について解説していきます。
2-1 要件定義~保守

まずは要件定義を行います。
機能要件の定義、非機能要件の定義、制約条件の明確化を行い、それらを文書化します。開発は要件定義で定められた内容を基にPM(プロジェクトマネージャー)が管理を行い進めていきます。
次に基本設計、詳細設計を行います。要件定義を基に実装の方法やシステムのインターフェースなどの設計を行います。これらを基に実装(プログラミング)へ進んでいきます。
そして実装、テストのフェーズへ進み、設計書を基にプログラミング、テストを行います。主にPG(プログラマー)が担当しますが、状況によってSE(システムエンジニア)が担当することもあります。
最後に運用保守を行い必要に応じて改修を実施するなど、システムの完成を目指します。
2-2 フロントエンド開発に必要なスキルと言語

フロントエンド開発 では「HTML/CSS」「JavaScript」などの開発言語に加えてデザイン面のUI/UXとコーディングのスキルが基本的には必要となります。
コーディングについて詳しく知りたい方は、「コーディングとは?プログラミングとの違いについても解説」をご参照ください
バックエンド開発と比較すると求められるものの難易度は低いですが、感性(センス)が問われるので生まれ持った才能が活かされるチャンスが幅広くあります。勉強では補えない部分があります。
2-3 現代のフロントエンド開発で注目される技術

近年のフロントエンド開発では、従来のHTML/CSS/JavaScriptに加えて、以下のような技術やフレームワークが重要視されています。
主要なフレームワーク・ライブラリ
- React:Facebookが開発したJavaScriptライブラリで、コンポーネントベースの開発が可能
- Vue.js:学習コストが低く、日本でも人気の高いプログレッシブフレームワーク
- Angular:Googleが開発した本格的なアプリケーション開発フレームワーク
開発効率を向上させるツール
- TypeScript:JavaScriptに型安全性を追加した言語
- Sass/SCSS:CSSをより効率的に記述できるプリプロセッサ
- Webpack:モジュールバンドラーとして、ファイルの最適化や管理を行う
これらの技術を習得することで、より保守性が高く、スケーラブルなフロントエンド開発が可能になります。
2-4 フロントエンド開発でよくある課題と対策
フロントエンド開発では、以下のような課題が発生することがあります。
- レスポンシブ対応の複雑さ
スマートフォン、タブレット、PCなど、様々なデバイスサイズに対応する必要があります。この課題に対しては、CSS Grid やFlexboxを活用した柔軟なレイアウト設計、モバイルファーストの設計思想が有効です。
- ブラウザ間の互換性
異なるブラウザ間での表示や動作の違いが問題となることがあります。対策として、Can I Useなどのツールでブラウザサポート状況を確認し、必要に応じてポリフィルを使用します。
- パフォーマンスの最適化
Webサイトの読み込み速度は、ユーザー体験に直結します。画像の最適化、不要なCSSやJavaScriptの削除、CDNの活用などによって改善できます。
- 保守性の確保
コードの可読性と保守性を保つため、命名規則の統一、コンポーネント化、適切なコメントの記述が重要です。
3.フロントエンド開発とバックエンド開発に分ける理由
では、なぜわざわざ分けて開発をする必要があるのか見てみましょう。分けないで開発する方法もあるので、その辺りも解説していきます。
3-1 必要なスキルが異なるため分けている
この両者では必要となるスキルが異なるため、分けて開発されています。
フロントエンド開発を主に担当しているエンジニアは、フロントエンドエンジニアと呼ばれることもあり、HTML・CSS・JavaScriptの言語を使うことが多く、UI/UXやテストやデバッグの知識が求められます。
次にバックエンド開発を主に担当しているエンジニアは、バックエンドエンジニアと呼ばれることもあり、JavaやPython、Rubyなど開発内容に合わせた言語を扱い、APIの設計やデータベースの知識などが求められる。バックエンド開発は、一定以上の知識が必要となるので、バックエンド開発ができる者は重宝される傾向にあります。
このように、求められるものが異なることから、それぞれの開発フェーズとして分けて開発を進めた方が効率よく進められるため分けられています。
3-2 フルスタック開発との関係性

フルスタック開発とは、フロントエンド開発とバックエンド開発を分けることなく、まとめて開発を行うことです。
フルスタックエンジニアと呼ばれることもあり、広い知識を持ちフロントエンド開発・バックエンド開発の両方を対応することができます。
そうすると、「フロントエンド開発とバックエンド開発を分ける必要がない」「片方しかできないエンジニアは不要では」と思う方もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
専門性という部分と、費用面において分けた方が得策であるケースも多々あるためです。
まず、専門性の部分ですが、通常フルスタックエンジニアは広い知識を持っていますが、フロントエンドエンジニアやバックエンドエンジニア程の専門性はないケースが多いです。
それでも、優秀なフルスタックエンジニアもいて、引けを取らない専門性を有している方もいますが、その分人件費が高く、フロントエンドエンジニア1名、バックエンドエンジニア1名の計2名の方が安くなるなんてこともあります。例えば、そこまで複雑で高度な開発内容ではないケースであればフルスタック開発、それ以外はフロントエンド開発・バックエンド開発に分けるといったような使い分けが必要となります。
3-3 フロントエンド開発とバックエンド開発を分けた方が良いケース
下記の表は、開発規模によって使い分けの例となっています。
| 開発規模 | 開発手段 | 理由 |
|---|---|---|
| 小規模 (LP制作など) | フルスタック開発 | 開発期間が短く、一人で完結できる |
| 中規模 (コーポレートサイトなど) | 役割分担を検討 | UI/UXの重要度と技術的複雑さで判断 |
| 大規模 (ECサイトなど) | フロント・バック分離 | 専門性と品質確保が重要 |
具体的な判断基準として、開発期間が1か月以内、ページ数が10ページ以下の場合はフルスタック開発、それ以上の規模では分離開発を検討することをおススメしています。
大規模なプロジェクトとは、下記のようなものを指します。
- 金融業界などのセキュリティが特に厳しい案件
- 高度なUI/UXが求められる案件
- 大量のデータ処理が必要な案件 など…
複雑ではなくシンプルな案件(例えば、写真を撮るだけのアプリなど)以外は、分けると決めても良いでしょう。
「フロントエンド開発」まとめ
フロントエンド開発はユーザーが見る場所を開発することであり、デザイン面など含めて美的センスも関わる部分です。ユーザーが使いやすく、そして見やすくするための工夫は欠かせません。
デザインの外注について詳しく知りたい方は、「WEBデザインを外注する際の費用相場、進め方、作業範囲を解説」の記事もご参考ください。
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