フルスタック開発とは、一言で言うと開発の工程を分けずに開発を進める手法のことです。
そんなフルスタック開発について、よく比較されがちなフロントエンド開発、バックエンド開発を交えて解説していきます。
ぜひお読みいただき、フルスタック開発に関する知識を少しでも深めていただければと思います。
目次 [非表示]
1.フルスタック開発とは
それでは、早速フルスタック開発について1章では解説していきます。

1-1.フロントエンド及びバックエンドを分けずに開発すること
フルスタック開発はシステムやアプリ開発における開発の手法であり、フロントエンド開発・バックエンド開発を分けずに一貫して開発をすることを指しています。
開発では、フロントエンドとバックエンドを分けて開発するケースも多々ありますが、フルスタック開発では分けずに進めます。
開発においては見た目の部分であるフロントエンド、データベースやサーバなどシステムが円滑に動くために裏で支える機能を開発するバックエンドの2つを開発し完成となります。
フロントエンド開発とバックエンド開発の詳細については下記の記事を併せてご参照ください。
フロントエンド開発:「フロントエンド開発とは?バックエンド開発との違いを含めて解説」
バックエンド開発:「バックエンド開発とは?フロントエンド開発との違いを含めて解説」
そこでなぜこのように分かれているのかを、次項のフルスタック開発メリット・デメリットで解説していきます。
1-2.フルスタック開発のメリット
フルスタック開発を行うことで、効率的にリソースを活用して、開発ができるメリットがあります。
フルスタック開発はフロントエンドとバックエンドを分けずに開発をするため、両方とも対応できるエンジニアがチームとして構築されます。
それによってリソースを効率的に使用することができます。
例えば、フロントエンド・バックエンドを分けた場合は、それぞれの担当者を配置する必要があり、最低でも1名ずつの計2名は必要となります。
しかし、フルスタック開発であれば、最低でも1名で対応できるため、リソースを効率化できます。
1人ができる範囲が広がれば複数名準備する必要がなくなります。
また、フロントエンド・バックエンドを一貫して対応ができることから、開発を効率化することができます。例えば、バグが発生した場合など、全て同一の人が対応していることからスピーディーに原因の特定ができるなど効率を上げることができます。
1-3.フルスタック開発のデメリット
フルスタック開発のデメリットとしては、フロントエンド・バックエンドを分けた場合と比較すると専門性と費用面が挙げられます。
まず、専門性の部分ですが、フルスタックエンジニアは広い知識を持っていることが多いです。ただ、フロントエンドエンジニアやバックエンドエンジニアほどの専門性に欠けるケースが多いです。
それでも、優秀なフルスタックエンジニアもおり、引けを取らない専門性を有しているエンジニアもいます。ただ、スキルが高くなるので、フロントエンドエンジニア1名、バックエンドエンジニア1名の計2名よりも費用が高くなるケースがあります。
もちろん保有スキルや状況にもよりますが、例えばそこまで複雑で高度な開発内容ではないケースであればフルスタック開発、それ以外のケースではフロントエンド・バックエンドに分けるといったような使い分けが必要となります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| リソースの効率化 | 専門性が低くなる可能性がある |
| 開発の効率化 | 費用が高くなる可能性がある |
1-4.フルスタック開発のエンジニアのレベル
これまで、出てきたように求められるレベルとしてはフロントエンド・バックエンドの両方の知見を持つことが求められます。
言語で言うと、JavaScriptやHTML/CSSなどのフロントエンドに関するものと、PythonやJavaなどバックエンドに関する言語の知識を持っています。
当然、扱える言語が多いほどスキルが高いと判断でき、高いレベルであると言えます。また、データベースなどのインフラ周りの知見も必須です。
フルスタックエンジニアになるための経験や学習期間としては3~5年程を要するといわれており、働きながら土日も学習した場合の年数となります。
1-5.フルスタック開発と分業はどちらを選ぶべき?
フルスタック開発とフロントエンド・バックエンドを分業して行う方法がありますが、
- 効率を考えるならフルスタック開発
- 品質を最優先にするなら分業
このように使い分けを行うことをおすすめします。簡単に表にまとめると…
| プロジェクト規模 | 推奨開発方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 小規模(3ヶ月未満) | フルスタック | スピード重視 |
| 中規模(3-12ヶ月) | ケースバイケース | 予算と品質のバランス |
| 大規模(12ヶ月以上) | 分業 | 品質と保守性重視 |
もちろん費用面などケースバイケースのところもありますが、まずは上記のように認識すると良いでしょう。
とはいえ、判断しかねる場合もあるかと思いますので、システム開発を依頼する場合は依頼先に、自社で開発する場合は有識者に判断を仰ぎ、プロの意見を参考にして決めることが重要でしょう。
2.フロントエンド・バックエンドの必要性は?
日本はかねてより専門性を高めるためにフロントエンドとバックエンドに分業させ、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの専門性が高いエンジニアをそれぞれに分けてきました。
その方がより質の高い開発ができることもまた事実として存在します。
しかしながら、前述している通りで効率を上げるためにはフルスタック開発の方が最適となっています。
そのため、フルスタック開発と分業させることの両者がバランスよくある必要があり、片方はいらないという考え方は逆にシステム開発に大きな欠陥を生じさせてしまう可能性があります。
エンジニア不足なので、フルスタック開発を中心にと考えるケースもあるかと思いますが、日本国内だけでなく、海外人材を活用したオフショア開発もあることから、開発する状況などに合わせて適切な開発方法を検討していきましょう。
オフショア開発については、詳細は「オフショア開発とは?概要やメリット、成功のポイントを紹介」の記事を併せてご参照ください。
3.フルスタック開発の進め方
3章では、フルスタック開発の進め方について解説していきます。

まずは要件定義を行います。
機能要件の定義、非機能要件の定義、制約条件の明確化を行い、それらを文書化します。開発は要件定義で定められた内容を基にPMが管理行い進めていきます。
要件定義の詳細は、「要件定義とは?基本設計/詳細設計との違いと進め方を解説」の記事をご参照ください。
次に基本設計、詳細設計を行います。要件定義をもとに実装の方法やシステムのインターフェース、サーバなどの設計を行います。
基本設計の詳細は、「基本設計とは?進め方と要件定義/詳細設計との違いを解説」の記事をご参照ください。
詳細設計の詳細は、「詳細設計とは?進め方と要件定義/基本設計との違いを解説」の記事をご参照ください。
これらを基に実装(プログラミング)へ進んでいきます。実装、テストのフェーズへ進み、設計書を基にプログラミング、テストを行います。主にPGが担当しますが、状況によってSEが担当することもあります。
最後に運用保守を行い必要に応じて改修を実施するなど、システムの完成を目指します。
4. フルスタック開発で使われる主要な技術スタック
フルスタック開発では、フロントエンドからバックエンドまでを統一的に開発するため、技術スタック(使用する技術の組み合わせ)の選択が重要になります。
ここでは、実際の開発現場で広く採用されている代表的な技術スタックについて解説します。
4-1. 主要な技術スタックの種類
フルスタック開発で使用される技術スタックには、いくつかの代表的な組み合わせがあります。それぞれに特徴があり、プロジェクトの要件や開発チームのスキルセットに応じて選択されます。
■ MERN Stack(マーンスタック)
MERNスタックは、すべてJavaScriptで統一された現代的な技術スタックです。
- MongoDB:NoSQLデータベース(柔軟なデータ構造)
- Express.js:Node.js用のWebアプリケーションフレームワーク
- React:Facebookが開発したフロントエンドライブラリ
- Node.js:サーバーサイドJavaScript実行環境
MERNスタックの最大の特徴は、フロントエンドからバックエンド、データベースまでをすべてJavaScriptで開発できる点です。これにより学習コストが低く、開発効率が高いのが魅力です。
■ MEAN Stack(ミーンスタック)
MEANスタックは、MERNスタックと非常に似た構成ですが、フロントエンドにAngularを使用します。
- MongoDB:NoSQLデータベース
- Express.js:Node.js用のWebアプリケーションフレームワーク
- Angular:Googleが開発したフロントエンドフレームワーク
- Node.js:サーバーサイドJavaScript実行環境
MEANスタックは、Angularの強力なフレームワーク機能により、大規模なエンタープライズアプリケーションの開発に適しています。TypeScriptのサポートも充実しており、型安全性を重視する開発に向いています。
■ LAMP Stack(ランプスタック)
LAMPスタックは、最も歴史があり実績豊富な伝統的な技術スタックです。
- Linux:オペレーティングシステム
- Apache:Webサーバー
- MySQL:リレーショナルデータベース
- PHP(Python、Perlの場合もあり):サーバーサイドプログラミング言語
LAMPスタックは長年にわたる実績があり、安定性と信頼性に優れています。WordPressなどの有名なCMSもLAMPスタック上で動作しており、豊富なドキュメントやコミュニティサポートが得られます。
4-2. 技術スタック比較表
各技術スタックの特徴を比較すると、以下のようになります。
| 技術スタック | 主な言語 | 学習難易度 | 開発速度 | 適したプロジェクト | コミュニティ |
|---|---|---|---|---|---|
| MERN Stack | JavaScript | 中 | 高速 | モダンなWebアプリ、SPA、リアルタイムアプリ | 非常に活発 |
| MEAN Stack | JavaScript/TypeScript | 中~高 | 中速 | 大規模エンタープライズアプリ、複雑なビジネスロジック | 活発 |
| LAMP Stack | PHP | 低~中 | 中速 | CMS、従来型Webサイト、ECサイト | 非常に成熟 |
4-3. その他の注目技術スタック
上記の主要3つ以外にも、近年注目されている技術スタックがあります。
■ Django + React(Python系)
- バックエンド:Django(Python製Webフレームワーク)
- フロントエンド:React
- データベース:PostgreSQLやMySQL
Pythonの豊富なライブラリを活用でき、AI・機械学習との連携が容易なため、データ分析機能を持つアプリケーション開発に適しています。
■ Ruby on Rails + React(Ruby系)
- バックエンド:Ruby on Rails
- フロントエンド:React
- データベース:PostgreSQL
開発者の生産性を重視した設計思想により、スタートアップや短期開発に人気があります。
■ Next.js(フルスタックフレームワーク)
- フロントエンド・バックエンド統合:Next.js(Reactベース)
- データベース:任意(PostgreSQL、MongoDBなど)
フロントエンドとバックエンドを単一のフレームワークで開発でき、SEO対策にも優れています。近年、特に注目度が高まっています。
4-4. 技術スタックの選び方
適切な技術スタックを選ぶには、以下のポイントを考慮する必要があります。
プロジェクトの要件
- リアルタイム性が必要か? → MERN/MEANが適している
- データの整合性が重要か? → LAMPのようなリレーショナルDB構成が適している
- SEO対策が重要か? → Next.jsなどSSR対応が適している
開発チームのスキル
- JavaScriptに精通している → MERN/MEAN
- PHP経験者が多い → LAMP
- Python開発者がいる → Django系
プロジェクトの規模と期間
- 小~中規模・短期開発 → MERN(高速開発が可能)
- 大規模・長期運用 → MEAN、LAMP(安定性重視)
コストと運用性
- 初期コストを抑えたい → オープンソース中心のLAMP
- クラウドネイティブな構成 → MERN/MEAN(Node.jsはクラウド環境と相性が良い)
技術スタック選定の詳細については、開発会社や有識者に相談することをおすすめします。
5.フルスタック開発に関するよくある質問
フルスタック開発について、お客様からよくいただく質問をまとめました。
Q1. フルスタックエンジニアは「何でも屋」で専門性がないのでは?
A. これはよくある誤解です。優秀なフルスタックエンジニアは、幅広い知識を持ちながらも、特定の分野に深い専門性を持っているケースが多くあります。
確かに、フロントエンド専門やバックエンド専門のエンジニアと比較すると、特定分野の知識の深さで劣る場合もあります。しかし、システム全体を俯瞰して理解し、フロントエンドとバックエンドの連携部分を最適化できるという、フルスタックエンジニア特有の強みがあります。
プロジェクトによっては、この「全体最適化」の視点が、個別の専門性よりも重要になるケースが多々あります。
Q2. 中小企業にはフルスタック開発が向いていますか?
A. 多くの場合、中小企業にはフルスタック開発が適しています。理由として以下が挙げられます。
- リソースの効率化:限られた人員で開発を進められる
- コミュニケーションコスト削減:少人数で済むため意思疎通がスムーズ
- 柔軟な対応:担当者が全体を把握しているため、仕様変更に迅速に対応できる
- コスト面:専門エンジニアを複数雇用するより経済的な場合が多い
ただし、システムが複雑化したり、高度な専門性が必要になった場合は、分業体制への移行も検討すべきです。
Q3. フルスタック開発から分業への移行は可能ですか?
A. はい、可能です。成長段階に応じて柔軟に体制を変えることが理想的です。
多くの企業では以下のような移行パターンが見られます:
- 初期段階:フルスタック開発でMVP(最小機能製品)を素早く構築
- 成長段階:ユーザー増加に伴い、パフォーマンス最適化が必要になる
- 拡大段階:フロントエンド・バックエンドを分業し、各分野の専門性を高める
この段階的なアプローチにより、初期投資を抑えながら、必要に応じて体制を強化できます。
Q4. 既存システムの改修もフルスタック開発で対応できますか?
A. システムの規模や複雑さによりますが、多くの場合対応可能です。
フルスタックエンジニアは全体を把握できるため、既存システムの理解が早く、影響範囲を正確に判断できるメリットがあります。特に以下のような改修に適しています:
- 機能追加や修正
- パフォーマンス改善
- セキュリティ対策
- UIの改善
ただし、レガシーシステムで特殊な技術が使われている場合や、大規模な改修が必要な場合は、該当分野の専門エンジニアが必要になることもあります。
Q5. オフショア開発でもフルスタック開発は可能ですか?
A. はい、十分に可能です。オフショア開発とフルスタック開発は相性が良い組み合わせです。
オフショア開発でフルスタック開発を行うメリット:
- コミュニケーション効率:窓口となるエンジニアが全体を把握しているため、やり取りがスムーズ
- 時差の活用:一人(または少数)で完結する作業が多いため、時差を活かした開発が可能
- コスト最適化:オフショアの人件費メリットとフルスタックの効率性を両立
弊社でも、オフショア開発とフルスタック開発を組み合わせた開発体制を多数手がけており、高い成果を上げています。
Q6. フルスタック開発に向かないプロジェクトはありますか?
A. はい、以下のようなプロジェクトでは分業体制が推奨されます:
分業が推奨されるケース:
- 大規模システム(開発期間が12ヶ月以上)
- 高度な専門性が必要(例:金融系の複雑な計算ロジック、リアルタイム映像処理など)
- 厳格な品質基準がある(医療系、金融系など)
- 既に大規模な開発チームが存在する
- レガシーシステムとの複雑な連携が必要
これらのケースでは、フロントエンド・バックエンドそれぞれに専門チームを配置し、高い品質を確保することが重要です。
「フルスタック開発」まとめ
フルスタック開発は開発フェーズを分業させることなく、一貫して開発を進める開発手法ですが、一方で分業するとフロントエンド開発とバックエンド開発に分けられます。
システムを一貫して開発できるフルスタック開発は魅力的であり効率が良いものですが、デメリットも当然存在し、分業するかはプロの目線で判断してもらうことが良いと考えます。
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